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INSPIRATION Lab.

MR.SHIGERU TAGUCHI

田口繁さん 
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私が最も影響を受けた仲間の一人。というか、強烈な個性であっという間に私の前を通り過ぎて逝ってしまった人。今の自分の歳まで彼は生きられなかった。残念ながら肺ガンで亡くなった彼は、僕が協同広告社に当時30歳(1988年)の時に同じ時期に入社した営業プロデューサーだった。 

毎日、朝礼の後、喫茶店で時間を過ごし、夢のような企画を語り、新しいアイディアを沢山生み出した。普通、この状況はさぼっていると見えるだろうが、まぁ、それほど違いがあるわけでもないが、今では大変貴重な時間だった思う。

彼のダイナミックな発想。札幌という枠に囚われない思考。そして大胆なまでの行動力と、広い知識。本質を見抜く力と、あまりにも知りすぎたせいか達観した私生活のギャップが可愛くもあり、切なくもあり。小難しい学術書も漫画もよく読んでいた。

映画が大好きで、「札幌国際短編映画祭」の企画書は彼との合作だった。1990年のことだった。それから16年後に本当にこの映画祭が立ち上がった。今でも田口さんは僕の目の前のコルクボードからタバコをくわえながら僕を見ている。「久保〜。何くるくるコマネズミみたいに働いてるんだ。アホか!飲みに行くぞ!」と低音の声が聞こえそうだ。




彼は、医療ジャーナリストを経て広告代理店に入り、その後、新聞社にもどりジャーナリストとして活躍するも、ストレスからか僕が東京に転勤になった後、肺ガンに冒され、1998年に亡くなった。病院ではロジャー・ペンローズの量子力学の本「皇帝の新しい心」を読んでいた。彼は自分の死を前に「未知の世界に旅立つんだ。ワクワクしないか!」と言っていた。彼の中では死をどのようにとらえていたのか、またとらえようとしていたのか?

今でも、彼の声が時空を超えてやってくる。
「久保、飲みに行くぞ!」
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この写真は父と子のキャンプ(支笏湖にて)たぶん、1993年頃。。。

by toshiya_kubo | 2008-12-02 00:17 | people